お世話になっております。九州大学ヨット部前主将の林駿希です。
引退して一週間が経ち、練習のない土日や、後輩たちが代交代に向けて動き出している姿、同期の引退ブログが更新されていくのを見るたびに、少しずつ、本当に終わったのだという実感が湧いてきました。先輩方からは「最初の土日はやることがなくて心にぽっかり穴が空く」と聞いていましたが、ありがたいことにその暇を感じる間もなく、クルーザーのレースに呼んでいただき、多くの学びを得る時間となりました。
98代では「七大戦優勝」「全日本インカレ総合入賞」を年間目標として掲げました。
特に七大戦は、私が1年生の頃からずっと頭にあった大会です。新歓で九大は9連覇中と言われ、胸を躍らせて入部したのをよく覚えています。自分が在籍する4年間で七大戦を勝ち切ることができなかったのは正直悔しいですが、来年度の小戸開催では後輩たちが必ず、そして圧倒的に勝ってくれると確信しています。
また、2年前の小戸での全日本インカレでは、見慣れたはずの表彰式がなぜか眩しく見えました。小戸ヨットハーバーでの表彰式は何度も見ていたはずですが、舞台の大きさなのか、自分がようやくヨットを理解し始めていたからなのか──理由は分かりませんが、あの時から表彰台に立ちたいという思いが強くなりました。
昨年のインカレ閉会式では人数の関係で建物にすら入れず、表彰を受けることのない虚しさを痛感し、来年こそは必ず賞状を掴んで終わりたいと思いました。結果としてその景色はスナイプの入賞により半分叶った形にはなりましたが、あの悔しさは確かに98代のエネルギーの源でした。来年度は総合での賞状ももらえることを期待しています。
主将を務めるにあたり、「主将とは何か」「どのような存在であるべきか」を考えるところから一年が始まりました。本を読み、動画を見て、先輩に相談し、時にはAIにも頼りながら、少しずつ自分の理想とするチーム像が固まっていきました。
98代は4年生が少なく、どうしても後輩に頼らざるを得ない場面が多くありました。私たちが至らない部分を補ってくれたり、練習運営やチーム全体の雰囲気づくりを積極的に担ってくれたりと、彼らの存在がなければ一年をやり切ることはできませんでした。負担をかけてしまった申し訳なさと同時に、そんな後輩たちを心から誇りに思っています。
そして、この状況だからこそ強く意識したのが「リーダーがいなくても自然と組織が回るチーム」を作るという目標でした。誰か一人の情熱や管理に依存するのではなく、全員が主体性を持ち、それぞれが役割を理解して動く組織です。
その姿を最も強く感じたのがインカレ本番でした。緊張感のある舞台で堂々と走りきり、結果としてスナイプ入賞、総合入賞に手が届きかけた後輩たちのパフォーマンスは、まさに98代が目指していたチーム像そのものでした。あの瞬間、目標は確かに達成されたと実感しました。
江の島での引退挨拶でも述べましたが、もう一つ自分の根底にあったのは「ヨット部に入って良かった」と心から思える部にしたいという思いです。もちろん、七大戦やインカレでの入賞は大きな目標でした。しかし、1〜4年、選手・マネージャー、それぞれ立場も熱量も異なる50人が全く同じ方向を向き続けることは決して簡単ではありません。実際に私自身、1年生の頃は全日本に4年生と同じ温度で挑めていませんでした。2年生のころ、七大戦に初めて出させてもらった時も当時の自分なりに全力でしたが、ペアで主将であったかなでさんとの熱量の差は確かにあったと思います。
だからこそ後輩たちには、ヨット部に所属したいと思える理由を一つだけでも持ってほしいと願いながら過ごしてきました。友人関係、先輩後輩のつながり、ヨットの楽しさ、成績へのこだわり、大きな仕事を任される喜びなど理由は何でもいい。98代が終わったとき、「この部活に入って良かった」と言える人が一人でも増えていれば、それが私にとって何よりの成果です。
私自身が入部を決めたのも、ヨット部の雰囲気に惹かれたからでした。
きつい9割、楽しい1割と言われて始めた部活でしたが、4年間を経た今、その言葉は間違いではなかったと胸を張って言えます。大学でここまで本気でスポーツに向き合う人は多くありません。その中で、マイナースポーツであるヨットに魅力を感じ、新歓に足を運び、大勢に見守られながら入部宣言をし、真夏の今津の山を全力で駆け抜け、凍える冬に艤装し、震えながら食当を食べて再び出艇する。入部前にイメージしていた大学生活とはかけ離れた生活でしたが、この濃い時間を共に過ごした先輩・同期・後輩は、一生忘れられない大切な仲間です。そして、50名という大きな組織の先頭に立つ機会を与えてくれたことは、これからの人生においてかけがえのない財産になると感じています。
最後になりますが、仕事の合間を縫って夜遅くまでミーティングをしてくださった神風監督、どんな相談にも快く応じてくださった航輝コーチ、練習を見に来てくださったOBOGの皆さま、運営面等で常に支援してくださった帆友会の皆さま、遠方から毎回惜しみない声援を届けてくださった保護者の皆さま、そして関係者の皆さまに、この場を借りて深く御礼申し上げます。皆さまのおかげで、98代は一年間無事に走り切ることができました。
また、私をここまで技術面・精神面・体力面などで成長させてくださった95代、96代、97代の先輩方、誠にありがとうございました。皆さまのおかげで一番最後に添付してあるような体型から常人に戻ることができました。ヨットの技術のみならず、人としての在り方や背中で示す姿勢、チームを思う熱量など、多くのことを教えていただきました。未熟だった私に根気強く向き合い、ときに厳しく、ときに優しく支えてくださったこと、心から感謝しています。先輩方のようなリーダー、そして人間になりたいという思いが、この一年の原動力になりました。
そして後輩のみんなへ。
上にも書いたように、98代は4年生が少なく、どうしても皆に頼らざるを得ない場面が多かったと思います。迷惑をかけたことばかりだったのに、私たちの代を支えてくれて本当にありがとう。皆が主体的に動き、時に私たち以上の熱量でチームを引っ張ってくれたからこそ、98代は最後まで走り切れました。本当に立派でした。
来年度の活躍、そしてより大きな成果を期待しています。小戸開催七大戦、インカレなど、どんな舞台でも必ず強い九大を見せてくれると信じています。
ただし、単位だけはちゃんと取ってください。これは本気でお願いします。
私たち98代はこれで引退しますが、九大ヨット部は未来へと続いていきます。
そして2年後には、創部100周年という大きな節目を迎えます。
これからも九州大学ヨット部への温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。