ランチャー折った数だけ

『ランチャー折った数だけ』

 

おはようございます。

4年スナイプの下川です。

 

先週開催された西日本インカレが無事終わり、次の大会がもう九州インカレだという事実に焦りを感じています。

西インでは、課題だったスタートを空いているところから出るということで難易度を下げ、無事いい反省が出来たレガッタとなりました。

毎レース事に反省して、その課題を次のレースに潰していくという循環を作り、結果こそ伴わなかったものの、ペアを通して成長が出来ました。新人戦の反省は十分活かせたので、この調子でさらに九インまで成長し続けたいです。

 

さて、話は変わりますが、僕はスナイプクルーというものをやっております。

 

クルーを日本語訳すると乗組員(ちなみにスキッパーは艇長)という意味です。何とも虚しい感じがします。

実際に舵を持って船を動かしているのはスキッパーで、あくまで自分は乗組員に過ぎないのか...と痛感させられます。

僕はそんな役職が嫌で、自分で舵を持って走らせたいと強く思う時期がありました。

 

では、クルーは一体何をしているのでしょうか。

 

話は変わりますが、僕は引越しのアルバイトをしています。

 

引越し業務というのは、単純な力仕事に見えますが、実はすごく奥が深いです。

 

基本的な作業人数は2人(もしくは3人)で現場を回ります。

1人は部屋打ちと言って、部屋にある荷物や家財を出す人(責任者といいます)で、もう1人が部屋の人が出てきた荷物をトラックのコンテナに積む人(助手といいます)で構成されています。

基本的に僕はアルバイトに入った時、コンテナに荷物を積む助手をやらせてもらっておりますが、大体の一現場の作業時間(60〜120分)は終始頭をフル回転させています。

 

僕が作業をする上で最も軸においていることは、「責任者がいかにスムーズに作業が進めるように動いているか」ということです。

 

コンテナの業務は、

・段ボールや荷物をコンテナに積み上げていく

・1台のトラックに全て乗り切るように考えながら積んでいく

・部屋の人が必要と思われる資材を部屋まで持っていく

・物損の恐れがある貴重な家財は積み方に注意しながら積んでいく

 

というような当たり前(これでもかなり難しい)な事をしながらさらに

 

・段ボールや小物が一通り終わるまでは基本的に荷物は積まずコンテナに流していく(積んでいる間に部屋の人が降りてきたら時間の無駄)

・そろそろ小物が終わりそうってタイミングを見計らって資材を上にあげる(社員が梱包している間にダッシュで積み上げる)

・2人で運ぶのが必要なタイミングになってきたら部屋に入る(もちろんそれまでに先の荷物は積んでいる)

・先敷きや照明などといった卸し地ですぐ使うものはなるべく後ろに積む

 

などなど、部屋の人をいかにストレスなく仕事が出来るかということを考えながらしています。

 

さらに引越しというのは部屋vsコンテナで、

部屋の人はいかに早く荷物を捌いて下に降りようとし、コンテナの人はいかに早く荷物を積み上げて上にあがってこようとします。

僕はコンテナなので、社員を下に降りさせないように頑張っています。

 

ただ、やっぱりなかなか難しくて上手くいかないことが多くあります。

 

そんな中、ある社員が口にしていたのは

「やっぱ〇〇が助手につくと気合い入るよね〜。自分ものんびりしてられないし、上に上がってくる気迫がすごいもん。これが△△となるとやっぱバテちゃうんだよな。誰が助手についても同じ熱量でしなきゃいけないんだけどね。」

 

この言葉を聞いて、助手の存在意義について考えさせられ、もっと使えるようになりたいと強く思うようになりました。

そして、そんな助手ってすごくかっこいいなって思いました。

 

急に話が戻りますが、

舵を取って船を動かしているのはスキッパーです。そしてクルーがやることは、スキッパーが気持ちよく走れるようにナビゲートすることです。

 

そうする為には、

・ジブセールを適切な位置まで引く

・メインセールを常に最適な形に合わせる

・海面を見てどっちに行けば風が強いかを考える

・ブローが来たらスキッパーに伝える

・船が常にフラットになるようにバランスを保つ

・船が進んでいるか、流されているかに気付く

・他の船のブランケットに入らないようにする

・他の船を確認しながら、どの場所に自分の船を置けば有利に働くかを考える

 

などなど、、、様々なタスクを同時にこなしていく必要があります。

 

何度も何度も言っていますが、舵を取って実際に船を動かしているのはスキッパーですが、船を”走らせている”のはクルーの役割です。

ただ舵を持ってセールをトリムしているだけでは、スピードは作れても実際に走れるかと言うと話は別です。

 

不利サイドから反対タックをフルスピードで走っても仕方ないし、ブランケットのところでスピード出せと言われても無理があります。

 

まあ当たり前と言えば当たり前の話ですが、スナイプクルーという役職になって3年が経とうとしていますが、ようやく最近そのことに気付くようになりました。

 

先ほど出した例は、もう大体は想像ついていると思いますが、引越しでいう責任者と助手は、ヨットでいえばスキッパーとクルーってことですね!

 

スナイプクルーは難しいですが、楽しいです。

そしてかっこいいです。

 

スキッパーを気持ちよく走らせてあげれるように、まだ全然ですが今まで憧れてきた先輩方に近付けるように、頑張っていきます!

 

写真は先日ランチャーを折ってしまった時の写真です。

昨年からランチャー折った本数が断トツ1位の自信があります。

よくある恋愛ソングに「涙の数だけ強くなれるよ」という言葉を借りれば、ランチャー折った数だけ強くなれるといいですね。

引退までに一体あと何本のランチャーを折ることになるのでしょうか。

もはや楽しみなまでありますが、艤装品は大切にしていきましょう。

 

それでは失礼致します。